警告!子供の肘が曲がらないことに気づいていますか?
先日、私が、外部の野球塾でのトレーニング指導に行った時の話。
中学生の子供たちが、少し時間があったので、縄跳びの練習を始めました。
「赤川さん。二重跳び100回できるようになりたいんですけど、ちょっと跳び方見てもらえますか?」
と言ってきました。
私は、そう言われたので、彼らの縄跳びを見ていました。
そして、
『うん、何も問題ないよ。上手く跳べてるから、あとは頑張って練習すれば、必ず跳べるようになるよ。頑張れ!』
と話をして、2人ほど同じようにして見ていました。
すると別の子供が、
「僕、縄跳びイップスなんです。見てください。」
って言ってきたのです。
『ん?縄跳びイップスってあるの?一回跳んでみて。』
と言うと、彼は跳び始めました。
そして、よく見てみると、右手と左手の縄の回し方が違うのです。
『なんか、右手と左手の肘の位置が違うし、回し方が違うよ。』
「そうなんです、直そうと思っても、どうしてもこうなってしまうんです。
どうしたらいいのかわからないんです。」
と言うので、
『ちょっと、こっち来てみて。』
私は彼の肘が、おかしいと思い、可動域などをチェックしました。
すると右肘が左に比べて曲がらないし、伸びないのです。彼は右投げです。しかし、指先が肩に全然つきませんし、完全に伸びません。
『おいおい、これ全然、肩に指先つかへんし、伸びないやんか。これはあかんやろ。』
彼は、中学3年生、来年は、甲子園にも出場したこともある地元の強豪校に、野球推薦で進学することが決まっています。しかも内野手で。
「小学校5年の時に、肘痛くなって、それからずっとこんな感じです。」
『治療とか言ったの?』
「治療院に今も通ってますけど、肘が痛いのは肩が悪いからや!と言われて、肩に電気あてるだけです。」
『そうなんやぁ?まぁ間違ってないと言えば間違ってはないけど。全然曲がらんなぁ。こんなままで、高校行って、毎日ハードな練習したら、肩とか肘とか故障するよ。これはあかんわ。ちょっとみせてみ。』
と言って、肘を私のいつもの方法で、動かしていきました。すると少しずつ指先が付くようになっていきました。
「うわぁ!5年生以来、指ついた~。」
って、言うので、
『ええか、こんなんを、ほったらかしって、言うんや。ちょっとこっちきてみい。』
と言って、彼をプレハブの部屋に連れて行きました。
そこにはベッドはありませんでしたが、ミーティング用の机があったので、
そこに彼を寝かせて、本格的に、肩と肘のチェック。
『肩も硬いし、肘もめちゃくちゃ硬いやんか。こんなんで、よう内野手やってんなぁ。ボールいけへんやろ。まぁ、ずっとこの状態やから、何が良いのか気付けへんかぁ。』
といって、少し時間をかけて、肩と肘をコンディショニングしました。
すると、徐々に、可動域もよくなってきました。
指先も完全に肩を触れるようになり、肩もかなりいい状態に。
『ちょっと外行って、何球か、ボール投げてきてみ。』
と言って、キャッチボールをさせに外に行かせました。
私は、「僕も見てください。肩と肘。」と別の選手が言ってきたので、
そのまま、もう一人の選手のコンディショニングをしていました。
すると、外から、
「うわぁ! めっちゃ肩回る~。チョー肩軽い~!こんなん、小学校以来久しぶりや~。」
と大きな声が聞こえてきました。
そして、彼がプレハブに走って戻ってきました。
「めっちゃ、投げやすいです。チョー軽いです。」
と言ってきたので、
『そやろ、肩・肘硬すぎんねん、次はちょっと縄跳びやってきてみ。』
と言って、今度は縄跳びをさせに行かせました。
すると、また外から、
「うわぁぁぁ!治った~イップス治った~~!やば~これ。」
って声が聞こえました。
そして、
「治りました。」
って、半分笑いながら言いに来ました。
『ほらな、肩・肘硬いんや。これからちゃんとしな。ほんまに壊すよ。』
と言いました。
「はい、わかりました。これからどうしたらいいですか?」
っていうので、
『また、時間見つけて、俺んとこおいで。』
と伝えて、終わったんですが。
多分こんな事、いっぱいあると思うんです。
今回は、たまたま、私がその野球塾に行く日で、それもたまたま時間が出来て、みんなが縄跳びをやりだしたから、彼も私に話してくれたのですが。
このままだったら彼は、その肩肘の状態が普通だろうと思って、そのまま高校に行って練習に入っていたんですよね。
そのために、肩や肘を故障するかもしれません、しないとしても彼本来の送球が出来るとは到底思えません。
いいパフォーマンスが出来るような、肩や肘の状態ではないと私は思います。
また肩や肘のコンディションが良くない選手は、必ずバッティングにも悪い影響を与え、本来のバッティングが出来なくなるでしょう。
彼自信も気付いていないし、もちろん指導者も気付いていません。通常は普通にプレーしていますからね。
最近は、チームによっては、野球肘の検診を受けるチームも増えてきましたが、まだまだ不十分です。
また、今回の彼は、私が少しコンディショニングをしたら改善傾向に向かいましたが、もう手遅れで、可動域などが戻らないようになっている子供たちも多いのではないでしょうか。
しかし逆に考えてみると、まだまだ改善していくことが出来る子供たちも多いのではないかと思います。
そのような子供たちを救っていかなければなりませんね。
じゃぁ、どうすればいいのかと言うとなかなか難しいのですが・・・。
もし、チーム内で発見しても、なかなか改善させられる人が近くにいることも難しいですし、近くの治療院に行っても、彼のようなケースもありますし、治療院と言ってもいろいろありますから、わからないですしね。
トレーナーやトレーニングコーチがいたとしても、全員がそんなことが出来るのかと言われたら、
それもなかなか難しい問題ですし・・・。
そうならないようにすることが、まず大切なんですが。
でもやっぱり、既になっている選手も、チェックすれば多いでしょうからね。
また、「肩とか肘なんか、我慢して投げてたら、そのうち治るんや。」
と訳の分からない指導者もまだたくさんいるみたいですし。
非常に大きな問題ですね。
しかし、今できることは、まず、自分の預かっている選手や自分の子供たちの事を、まずチェックしてみることが一番ではないでしょうか。
素人の方でも、右と左を比べたら、肘が伸びない、曲がらないぐらい誰でもわかりますからね。
もし、発見したら、整形外科でチェックを受けるなど、対処することが、大きな怪我につながらないようにするためには一番かと思います。
まずは早期発見。
過去に、痛みや故障の経験がある子供たちは、再び故障する可能性が高いということです。
何故かと言うと、身体自体や、身体の使い方、投球フォームなどが改善しない限り、一旦は痛みや炎症が収まっても、その原因であることを改善していないからです。
多分ほとんどの、故障歴のある子供たちは、その時に、ノースローを数週間する。治療院やリハビリ室で電気や超音波などの物理療法を受ける。場合によっては手術を受ける。と言ったことしかやっていないことがほとんどではないでしょうか。
根本原因である、身体の使い方、身体自体、フォームなどを改善しないかぎり、また故障する可能性があるということです。
まずは、現状をしっかり把握して、特に過去に故障歴がある場合、現在症状がなくても、チェックしておいた方がいい。
もし、今回発見したり、故障歴がある場合、肩や肘など故障部位だけに着目するわけではなく、その根本原因は何なのかをしっかりと把握し対処することがとても大切です。
今回は、将来にとってとても大切なお話です。
子供たちや選手たちがいつまでも、大好きな野球を全力で出来るように、大人たちが、サポートしていきたいものですね。
以上、警告!子供の肘が曲がらないことに気付いていますか?でした。
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