アイシングすればいいってもんじゃない

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私が、近鉄バファローズにコンディションイング担当として入団した約30年前、その頃からだろうか、たくさんの投手が登板後に肩や肘にアイシングをするようになったのは。

その当時でも、すでにアメリカでは、メジャーリーグの選手だけでなく、リトルリーグの子供たちも投球後に、アイシングすることが当たり前になっていると聞いていました。

アメリカは進んでいるなぁと思ったものです。
当時の日本でも、少しずつ、怪我をしたら、氷で冷やすということが、生活に浸透してきており、捻挫などをしたら、バケツに氷と水を入れて、足をつけていました。

しかし、まだまだ、野球界では、投手が肩を冷やすなど、全員がしているわけではありませんでした。
しかし、当時の近鉄バファローズは、野球界でも常に新しいことをいち早く取り入れ、時代の先端を走っていたチームでした。

そして、今日では、日本の少年野球の子供達をはじめ、中学生。高校生と当たり前のように、登板後に、肩や肘にアイシングをしている姿を見かけます。

高校野球の甲子園においては、試合後のインタビューに、アイシングをつけた格好で、取材を受けている高校球児も多くみられるます。まるでプロ野球選手かのように。

しかしながら、本当に、全員が全員アイシングが必要なのでしょうか?

アイシングをしていたら、それでいいのでしょうか?

少年野球や中学野球を見学に行っても、子供が試合を終えると、お母さんがすぐに、駆け寄って、子供の肩や肘にアイシングをしている姿をよく見かけます。
もちろん、みんないいと思ってしているのでしょう。

本当に必要なのでしょうか?

私は疑問に思っています。

私自身も、近鉄・オリックスとたくさんの投手を見てきました。
その中には、アイシングを必ずする選手。
球数が多かった時にする選手。
絶対しない選手。
元々しなかったが、するようになった選手。
元々していたが、やめた選手。
いろいろいました。

もちろん、私も30年以上、この仕事に携わってくると、トレーニング・医学・バイオメカニクスなど。最先端の研究が世界中でされ、日々、考え方が変化していきました。
去年まで良いといわれていたことが、翌年には違うといった考えが出てきたことも多々あります。

そんな時代の中、選手も、トレーニングコーチもコンディショニングコーチもトレーナーも、日々変化する情報のなか、より良いものを求め、努力と研究をしていったのでした。

しかしながら、プロ野球選手は、個人事業主であり、一人一人が社長なのです。
いろいろな情報とアドバイスを受けますが、最終的にはその選手個人の気持ちを私たちコーチやスタッフは尊重します。

ですから、その当時、その当時の情報をみんなで共有しつつ、最後は選手本人が,アイシングなどををするべきかしないべきかの判断を下していました。
選手も、毎年毎年、いろいろな情報を試しながら、自分のベストを探していくのです。
それでいいと思います。
何しろ結果が全てですから、自分に合わないものは合わないでいいのです。
人間は、すべて同じではありません。

アイシングの効果云々については、たくさんの方が、意見を述べられています。
ですから、そのことについては、今回は述べません。

私が今回伝えたいのは、アイシングが神ではなく、それをしていればいいのではないということです。
それよりも、もっとしっかりやってほしいことがあります。

それは、何よりも早く、栄養補給と水分補給をしてほしいのです

アイシングによって、血流がどうだの、血管がどうだのと言う前に、その血管の中に流れているものが大切なのではないでしょうか。
栄養を運び、疲労物質を除去してくれるものをいち早く充実させるべきではないでしょうか。

私は、コンディショニングコーチ時代、試合中に、各選手のロッカーに、投手の登板後や野手の試合後に、すぐに飲めるように、大きなプラスティックのコップに、プロテインの粉を入れ、かき混ぜることができるように、割り箸を立てて置いていました。

選手は、登板後や試合後にすぐに、そのコップに水を入れ、プロテインを飲み、そしておにぎりやバナナなど栄養を補給するのです。

そしてそこから、ユニホームを着替え、私のところの来て、軽いダンベルで肩のエクササイズを行い、そのあとストレッチポールの上に寝て、肩甲骨のポジションを整え、軽い全身のストレッチをするのです。

もし、時間と環境が整えば、そのままエアロバイクを10分から20分程漕いで、有酸素運動をして、疲労の除去に努めるのです。
そして、バイクを乗りながらや時間がなければアイシシングする選手はするといった流れです。
環境や時間によって、多少の違いはあるのですが。

そして、私がまず、最優先にしていたことは、アイシングでもなく、ストレッチでもなく、栄養と水分の補給だというとです。

ここを皆さんは、忘れていませんか?

子供たちも、肩や肘に、プロの選手みたいに、氷嚢をつけて、
いかにも『私はコンディショニングに気を付けています。』と言わんばかりですが、

私からすれば、
『いやいやそれ以外に大切なこと忘れていませんか?』
と思うのです。

皆さんも、もう一度振り返ってみてください。
本当に、大切なことは何なのか?
何が一番必要なのか?

その人の身体は、すべて、その人が食べたものからつくられている。

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