いつも同じような場所で、同じ方向から、同じ相手とキャッチボールしていませんか?
これは、人間の心理なのか、単なる習慣なのか・・・。
選手たちはいつも同じ相手と、同じような場所で、同じ方向から、いつもキャッチボールをしていませんか?
これは、子供たちだけではなく、プロ野球の選手についても言えることです。
いつも気が合う相手と、同じ場所で、同じ方向からキャッチボールをすることが多いのです。
もちろん、技術が身に付いているプロの選手にそこまでこだわることはあまりありませんが。
まだまだ、技術が身に付いていない、大学生ぐらいまでは、いろいろな相手と、いろいろな場所で、いろんな方向に向かって、キャッチボールをしてほしいと思っています。
今度見る機会があれば、じっくりと見てみてください。
いつも、後ろに壁やフェンスがある方向に対して投げる選手がいます。
逆に、まったく気にしていない選手もいます。
私がなぜ、いろんな方向から投げてほしいのかと言うと、キャッチボールの相手の後ろの景色が、投げ手にとって、とてもストレスになるということなのです。
すぐ後ろに壁があり、後ろに誰も立っていない場合、ほとんど何のストレスもなく相手に投げることが出来るでしょう。
しかし、河川敷のグラウンドで練習していて、相手の後ろがすぐに川で、暴投をしてしまうと、川にボールがはまってしまう。
もし相手の後ろが何もなく、暴投してしまうとずっとずっと後ろまで走って行って取りにいかなければならない。
もし暴投してしまうと、保護者や指導者が立っていて、当たってしまうなど。
後ろの風景が変わるだけで、投げ手はかなりのストレスを感じるのです。
例えば試合の場合でも、ファーストの後ろがすぐにネットが近く、悪送球しても、ランナーは、次の塁を狙いにくい場合。
逆に、ファーストの後ろが何もなく、もし悪送球してしまえば、ランナーは、3塁にもホームにも帰ってしまうぐらい広い場合。
サードやショートの精神的ストレスはかなり違いがあるのです。
そのちょっとした心の変化が、悪送球を生むのです。
ですから、日頃の練習で、子供のころから、いろんな風景のところで投げることを経験させていてほしいのです。
これは投手のブルペンの練習でも言えることです。
プロ野球の各球場のブルペンやキャンプ地でのブルペンもほとんどキャッチャーの後方はすぐに壁があります。
ピッチャーはあまりストレスがなく投げることが出来るでしょう。
しかし考えてみてください。
通常ゲームで投げる場合、キャッチャーの後方は、10m以上もの距離があります。
全く風景が違うのです。それだけでかなりのストレスだと思います。
そのことに気付いたのでしょうか、当時のダイエーホークスが、高知のキャンプ地のブルペンの後方を下げたことを記憶しています。
実際に、ダイエーホークスが高知を離れた後、オリックスがその施設を使うことになったのですが、やはり、少し後方になっている印象はありました。
私も近鉄時代、キャンプなどの時、サブグラウンドのマウンドが開いている場合、練習のブルペンではなく、グラウンドのマウンドで、ピッチング練習をするように投手に提案したことがあります。
やはり感覚が違うことは選手も理解していますので、すぐに取り組んでいました。
実際、近鉄、バファローズが初めて大阪ドームで試合をする前の日に、チームが練習したのですが、翌日の開幕投手の高村投手をマウンドに連れていき、初めて大阪ドームのマウンドで練習したことを覚えています。
なんとその時、大阪ドームのバッターボックスに初めて立ったのは私なんですけど・・・
投球練習の相手をして、バッターの代わりになって立っていましたね。
今になってはいい思い出です・・・。
それだけ、プロの投手によっても風景が変わるというのは、影響があるんですね。
やはり、
「あの球場は、後ろが近いから投げやすい。」とか
「あの球場は後ろが近く見えるから投げやすい。」とか、よく言っていましたね。
今度機会があったら見てみてください。
ヤクルトの本拠地、神宮球場のブルペンは、3塁のファールゾーンにあります。
全く、隔離されておらず、投手は結構ブルペンで投げるのに気を使っています。
私も、オープン戦や交流試合で何度も訪れましたが、結構ピッチャーが暴投を投げて、ボールがベンチ方向に転がっていき、試合が中断したことを覚えています。
プロでも嫌なんですね。あまりコントロールに自信のない投手は。
また、外野手に関しても、グラウンドに立っている、ショートやセカンドに中継のボールを投げるときの距離感がなかなか合わない選手がいます。
打球と走者に合わせて、その都度中継の位置が変化し、距離感が変わりますから難しいですね。しかもその一瞬のプレーが、ワンバウンドだったり、高すぎたり、横に少し動いただけで、速、得点につながってしまいますから。
このように、選手達は、グラウンドやスタジアムの周りの建物や、スタンドの風景、後方の距離感などを認識しながら、正確なポイントに投げなければならないのです。
しかし、日頃の練習で、そのようなことに多くの時間を割くことはできません。
ですから、必ずする、日頃のキャッチボールの練習を、違った風景でするようなことが必要になってくるのです。
もし可能なら、キャッチボールの相手を毎回変える。
いつもフェンスに近い方向から投げているなら、逆から投げる。
いつもグラウンドを縦に使っているのなら、横に使ってみる。斜めに使ってみる。
広いグラウンドなら、端っこでやらずに、グラウンドのど真ん中でキャチボールをするなどの工夫をするといいでしょう。
ただ単に、いつもとは違う方向に変えるだけ、グラウンドの使う場所を変えるだけ、相手を変えるだけで、いつもとは違った、心の変化が起き、将来、いろいろな状況の変化に対応できる選手になっていくでしょう。
これは、プロの練習でもさせたことがあります。
高校、大学、社会人レベルでも十分な効果があると思っています。
ぜひ、試していただきたいと思います。
以上、何故いつも同じ方向からキャッチボールをするの?でした。
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