昼寝の効果は絶大!
ラグビー日本代表の地獄の合宿で話題になった、昼食後の昼寝。
長い時には2~3時間もとる時があるという。
数年前には、女子バレーボール日本代表合宿においても、昼寝の時間が確保されている映像が
テレビで放映されていました。
ちゃんと自分の宿泊先の部屋に布団を引いて寝ていましたね。
選手のほうも、午前中の疲労がかなり軽減して、午後からの練習にも全力で取り組めるということで
高評価でした。
朝から晩まで心身ともに過酷な練習を続ける合宿。
プロ野球で言えば、春と秋のキャンプに相当します。
私がトレーニングコーチとして所属していた、近鉄バファローズ・オリックスバファローズの
キャンプでも、朝9時ごろから夜9時過ぎまで練習をしていました。
起床時間は7時くらいでしょうか。
もちろん今回注目されているラグビー日本代表の合宿と比べてしまうのはどうかと思いますが、
プロ野球選手もかなりハードな練習を日々続けています。
例えば
7時頃 朝食
8時頃 出発
8時30分~9時頃 ウォーミングアップ
9時30分~10時頃 チーム練習開始
12時30分~13時頃 昼食
13時~13時30分頃 個人技術練習開始
15時30分~16時頃 個別練習開始
16時~17時30分頃 ウエイトトレーニング開始
18時頃 夕食
19時 夜間練習 及び ミーティング
21時 終了 軽い夜食あり
22時から23時ごろ 就寝
大体このようなスケジュールで動いていることが多かったですね。
もちろん、若手の選手は、常に時間が遅く遅くなります。
ベテラン選手は、少し早く帰っていきますが。
このようなスケジュールで動いていると、ほとんど休憩などありません。
昼寝など、途中で体を休めることなどほぼない状態。
昼食時に1時間あればいい方ですね。場合によっては、昼食時間もままならない時がありました。
夕食においてもひどい時には、どろどろのユニホームのままで食事を摂り、また慌ただしく
夜間練習に出かけていくといったことが多々ありました。
それも、もっとも体づくりを考えていかないといけない若手選手です。
彼らは常に疲労困憊で、時間の余裕などほぼない状態でした。
もちろん、キャンプ時は、ライバルとの競争で、死に物狂いで練習に明け暮れているのですが。
朝からかなりのハードな練習を課しているのなら、一度回復させる時間を与えるべきです。
人は自分の過去の経験や体験を美化しがちで、プロ野球の指導者たちも、自分が現役時代にやらされ
ていたハードな練習を選手たちにも課してしまうのです。それがすべて正しいとばかりに。
もちろんハードな、そして繰り返しの練習は必須なのですが。
人間は、ずっと、最高の集中力で最高のパフォーマンスを維持するには限界があります。
身体も脳も疲労してしまうからです。
確かに、ほかの競技と比べて、野球のユニホームは、たくさん身に着けるものが多く、一旦すべてぬいで、シャワーを浴びて布団で寝るということは大変なのかもしれません。もちろん大量の洗濯物も出てしまいます。そしてまた、ユニホームを着ないといけないという。はっきり言って面倒くさいかもしれません。
また、キャンプ施設のすぐ横に、宿泊ホテルがないのかもしれません。
しかし、もしそのようなことがクリアーになるのなら、絶対昼寝の時間を確保するべきです。
特に、毎年ハードな練習をしていても一向に結果が出ないチームには。
大体、その年のチームの結果が低迷すれば、その年の秋のキャンプ、翌年の春のキャンプは
地獄のキャンプとなります。
もちろん、その意図も意味も理解できますが、ただやればいいというものではないでしょう。
人はやれば必ず疲労します。そしてそれを回復させるには、栄養と休養が必要なんです。
たぶん頭の中では理解できているのでしょうが、おもいきって変革しようとはしないものです。
結局ハードなことをやったということが残っただけで、体づくり・技術力アップは本当に出来ているのでしょうか。
ただの自己満足に終わっているようにしか思えないのですが。
だって結果が出ていないのですから。
このことは、小学生から社会人野球には、もっと考えてほしいのです。
プロ野球選手よりももっと、体づくりに重点を置かなければなりません。
それには、絶対に休養と栄養が必要です。
そんな時間がないというのなら、もっと早くから練習すればいいのです。
朝食前に、1~2時間、練習時間を確保すればいいのです。
早く起きて、早く寝る。簡単なことです。
これができる練習スケジュールを組んでください。
運のいいことに、私は近鉄バファローズ時代、提携先のロスアンゼルス・ドジャースの
当時のキャンプ地、フロリダのベロビーチで近鉄バファローズの2軍選手を引き連れて
ラソーダ監督の元、ドジャースのコーチによる秋のキャンプにトレーニングコーチとして
2年間参加することが出来ました。
ベロビーチのドジャースのキャンプ地には、スタンド付きのメイン球場・サブ球場が5つほどあり、
ほかにバッティングゲージ・トレーニングルームなどが完備され、グランドの横が宿泊施設になっていました。
部屋からグラウンドは歩いて10秒です。
その時の練習スケジュールは、必ず昼食に1時間の休憩・長い時には2時間ありました。
ドジャースのコーチによると、
「昼食で食べたものをゆっくりと消化させなければならない。
それと午前中の疲労を回復させるためにしっかりと休憩を取りなさい。」
ということでした。
選手たちは昼食をとると、一旦、部屋に戻ってベッドで横になっていました。
そしてもう一つ言われたのが、夜間練習の禁止でした。
「日中、ハードな練習をしているのだから、夜は体を休めなさい。」と。
「夜にまだ練習ができるということは、昼間の練習で、手を抜いているんだ。
それならもっと昼間に全力を出せ!」と。
おっしゃる通りでした。
まぁ、その当時の近鉄の技術コーチ陣は、誰も納得していませんでしたが。
もちろん、アメリカのような恵まれた環境で、練習できることは難しいのかもしれません。
しかし、工夫をすれば何とかなるんじゃないでしょうか。
皆さんも一度考えてみてほしいです。
昼寝とは言わないまでも、せめてパワーナップ(積極的仮眠)は可能かと。
次回は、そのパワーナップについて書いてみたいと思います。
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