今日は少しリハビリの話。
医学が発達し、医療現場においては、スポーツ医学という、スポーツをすることによる外傷や障害に特化した分野が出来てきたました。
多くの医者や、理学療法士、トレーナー、トレーニングコーチ、コンディショニングコーチなどが、様々なスポーツ現場で起こる外傷や障害に対して、研究し実践しながら、発展を遂げてきました。
今では、小学生でも、野球をすることによって起こった、肩・肘などの障害に対する手術を受けるような時代になってきたのです。
もちろん、手術をする医者の経験や実績も非常に大切であり、またそのあとの理学療法士やトレーナーなどによるリハビリテーションも手術以上に復帰には重要な要素を占めています。
私自身も、プロ野球所属以前には、医療法人のリハビリ室に勤務し、様々なリハビリテーションやアスレティックリハビリテーションの現場を経験してきました。
そして、その経験を生かしてプロの世界に飛び込んだのです.
そんなプロ野球のコーチ時代、このような事が日常行われていました。
私が1軍のコンディショニングを担当している時には、毎日ファームから、今現在、調整やリハビリテーションをしている選手の進行具合や、今後の日程・方針などが、日報としてメールで送られてきました。
そのメールを見て、私が重要視しているのは、1軍の試合で投げて、結果を出せる状態までその選手が、回復できているのかということです。投げれるようになっただけではダメなんです。勝てる球が投げれるかの方が重要なのです。
ここで、注意しておかなければならない点は、特にリハビリテーション中やリハビリを終えて、実践練習やゲームに出場するようになった選手のキャッチボールやブルペンでの投球のことです。
しっかりと、以前と同じフォームで、しかも指にかかった球が、投げられているのかということです。
通常、ファームからのトレーナー報告書には、いつも、○○選手、キャッチボール50m×10,60m×10、○○%など、距離と球数や時間、力の入れ具合(%)などが記されています。そして、痛みがあったのか無かったのか、などの報告がなされます。
しかしそれを見ても、肝心なことがほとんど書かれていません。
それは、しっかりと指にかかったボールが、本来のフォームで投げられているのかということです。
プロ野球選手ですから、多少の痛みがあったり、リハビリテーション中でも、投げれば、50m・60mぐらい、投げることができます。肩や肘が多少痛くても、それぐらいの距離は投げることができるのです。
ですが、そこで本当に、トレーナーの報告書通り、○○mを自分本来のフォームで指にかかったボールで投げることが出来ているのかということです。
本来のフォームではなく、また、指にかかっていないボールをいくら○○mを○○球投げても、試合では全く通用しないということです。本来のピッチングには、まだまだだということです。そこをしっかりと判断できなければなりません。近年は、リハビリテーションも発達して、様々な障害に対する、リハビリテーションの進め方が、簡単に入手できるようになっています。しかしそこには、先ほど書いたような、本当に現場復帰するのに大切なことは書かれていません。
○○m×○○球 ○○% だけなのです。そこで本当に大切な情報は何なのか、しっかりと見極めていかなければなりません。
リハビリを担当する人はそのあたりをしっかりと見て、今後の方針を決めていかなけれななりません。
ただ、メールや紙に書いた数字だけを見て、進めていってはならないのです。
できるだけ現場に行って、実際に投げているところを見て、選手の声を聴いてください。
そこにはいろいろな情報が隠れています。文字だけではわからない、動画だけではわからない、空気感,雰囲気、表情、その他いろいろ、その現場にいないとわからないことがいっぱいです。
型にはまった進め方では、越えられない壁に当たる時もあるかもしれません。
そんな時こそ、現場の生の情報から、何か突破口を見出してください。
本当の回復とは何なのか?
これからの彼には何が必要なのか?
今一度考えて進めていきたいものです。
現場を預かる指導者も、そこをしっかり見極めてください。距離・スピードだけではわからない事が、理解・判断できるのが監督であり、技術コーチの役割です。様々な角度から、本当にその選手が現場復帰して良いものなのか、まだ時間をかけるべきなのか、しっかりと考えてください。
医療現場(医者・リハビリ担当)次の段階(コンディショニングコーチ・トレーニングコーチ)
最終段階(技術コーチ)の意見をしっかり聞いて、1番いい方法を選択してください。この中のどの専門分野も抜け落ちてはいけません。
素晴らしい復活をするために、大切な作業です。
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