数字にだまされるな

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今年大ブレークした、女子プロゴルファー渋野日向子選手。

私が今、尊敬する最高のアスリートの1人です。

先日、LPGA賞金女王がかかったツアー最終戦。18番のティーグラウンド。すでにホールアウトしている鈴木愛選手から、賞金女王を奪うには、もう優勝するしかありません。普通の選手ならば、今年最後のティーグランドで、しかも優勝、賞金女王がかかった状況では、誰も近寄りがたい雰囲気に自然になるものです。しかしそんな時、彼女は、普段通りに、紙のカップに入れられたフルーツを食べているのです。しかも、同じ組で回っている選手に、爪楊枝でイチゴをさしてあげて渡しているのです。今までにこんなプレーヤーがいたでしょうか。本当に素晴らしいと思います。もちろん、プレー中に駄菓子を食べたり,おにぎりを食べているシーンがよくテレビに映るので、ちょっと批判的な意見を言われたりしていることも有ります。でも私は、そんなに気になりません。いいじゃないですか、お腹すくんですから。

そんなことよりも、あの場面で、近くにいる人に対して気配りができる彼女が本当に素晴らしいと思うのです。

全英女子オープンを優勝した時から、スマイルシンデレラと呼ばれ、常に笑顔を絶やさない彼女の姿は本当に素晴らしいと思います。

先日、そんな渋野選手が、試合当日に、日頃行っているパター練習風景をテレビで取材放映していました。

彼女には、ショットやパターの練習で、コーチから言われた課題がそれぞれあり、その課題がクリアしなければ次に進めないし、練習が終わらないのだそうです。

最近は、渋野選手は優勝争いをすることが多く、最終組やその前の組を回るようなことが多いのです。したがって、一番遅くホールアウトするので、その後の練習もかなり遅くなってしまいます。しかしそんなときでも、いつも課題をクリアするまでは練習を終えないそうです。これは今に始まったことではなく、真夏であろうが、雨が降ろうが、関係なく行われているようです。そして、今回賞金女王に輝いた、鈴木愛選手も、いつも一番遅くまで練習していたようです。

ここで、私が注目したいのは、渋野選手が、何球打たなければならないから、練習が長いわけではなく、課題を毎日毎日、クリアするために、その結果として時間が長くなっているということです。

果たして、渋野選手が、今までの練習を、毎日パターを何球打つまで練習を終わらないといった、ただ単に数にこだわった練習を、毎日毎日続けていたとしたら、こんなに彼女は強くなったのでしょうか?

私はそうは思いません。毎日毎日、プレーシャーのかかる課題をクリアするまで、練習するということを辞めないで続けているからこそ、ここまでの選手になったんだと思います。

 

そんなことを考えていると、先日私のジムで、こんな事がありました。

ある選手に、日頃の野球の素振りの自主練習について、私が質問したのです。

「いつも家に帰って、素振りとかしているの?」

「はい、毎日500回振ってます。」

「500回もか。本当に気持ち込めて振ってる?本当に気持ち込めて、場面を想定して振ったら、そんなに多く振れないと思うんだけど?そんな時間あるの?毎日?」

「まぁ~40分ぐらいですかね~。」

「~~~。本当に気持ち込めて、想定して振ったら、そんな時間で終わるとは思えないんだけど。それって、ただ数を振ればいいって思ってない?」

「いやぁ、でも、僕の知り合いは、いつも2000回振ってるって、言うんです。」

「おいおい、2000回も、真剣に振ったら、何時間かかるの?あなたたち、まだ学生でしょ?勉強もあるのに、そんな時間毎日ある?ていうか、そんなの振ってるだけでしょ。ただ数やってるだけ。ただの自己満足。」

「いいか。人間は、あまりにも多い数を設定すると、ただその数をこなすことばっかり考えて、練習の本筋から外れていってるんだ。

ましてや、学生で、毎日。2000回も、意識して振ってるとは思えないよ。

そんな練習なら、しっかり意識してイメージが出来た素振りを10回きっちりできた方がよっぽどまし。本当に意識して、10回振ってみろ。絶対2000回なんか振れないってわかるから。

いいか。数じゃないんだ。中身が大事なんだ。君が今日、素振りの練習で自分に与えた課題を何回クリアするかを決めておくんだ。その課題のイメージができるまで絶対に素振りの練習を辞めないんだ。その結果が、10分なのか。3時間なのかはわからない。

いいか、例えば、算数の問題に置き換えて考えてみて。

いつまでたっても解けない問題を毎日2000個やってもだめなんだよ。解けていないんだから。

それよりも、毎日、1つの課題の問題を必ず解けるまで辞めないことが大切なんだ。その課題の数が、体力があれば2題、3題と増やしていけばいい。体力がなければ1題でもいいんだ。

数よりも、確実に問題を解き切ることが大切なんだよ。

そのために時間がいくらかかっても仕方ないんだよ。

そしてもう一つ、問題が解けていないのに、次の問題を解きに行ってはダメ、もし今日の練習で、時間や体力がなくなって、問題が解けないなら、また明日その問題を解かなければならない。

そうして、毎日毎日、課題の問題を解きに行くんだ。そしてそれが技術が上達していくということなんだ。

ただ数をやればいいっていうほど技術の習得というのは甘くないよ。

自己満足は、時間と体力の無駄。そんな意味のない練習は今すぐやめるべきだ。

課題を克服すること、それに一点集中して練習することこそ、上達の近道なんだ。

そしてそれこそ、本当に技術を身に付けたことになるんだよ。

数を多くやることも大切かもしれない。しかし、本筋を離れてしまっての数は何の意味もない。

ただ、やった気がするだけ。ほかの人より多く振っただけ。

いつまでたっても課題は解けないし、技術は完全に、自分のものにはならない。

技術を習得するということは、数多く繰り返し練習をしなければならない。

しかしそれが、数をこなせばいいということでは決してない。問題を解けていなければ、なんの意味もなさないんだよ。」と伝えます。

これは、練習している選手の心の中が、ウエイトを占める非常に大切な問題です。

選手がどういう気持ちで、日頃バットを振っているのか。

指導者からは、なかなかわからないことだと思います。

しかし、指導者も保護者も、ただ単に、「毎日500回振れ、1000回振れ。」と言っていませんか。ただその数字だけを。ただ数を多く振っている選手を評価していませんか?その中身を全く評価せずに。

数字に騙されてはいけません。

何回・何分・何時間。

目標が数字ではなく、その結果が数字であるのです。

 

 

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