私は、体育大学の学生時代、ある教授からこんなことを教わりました。
「いいか、心というのは、君たち、ひとりひとりの人間という袋の中にあるんだ。だから、運動などで身体を動かすと、その袋が動いて、袋の中にある心が動くんだ。」と教えていただきました。
全くその通りだと思います。
皆さんは、ジャンプをしたりしながら、怒ったりできますか?落ち込む気分になれますか?
これが意外と難しいのです。できないのです。
私はそれを実践していました。
プロ野球は、毎日毎日、試合があります。
勝つ日もあれば、負ける日もある。
ましてや連敗中は、チーム全体も暗い雰囲気で、空気も非常に重いのです。
また、負けていなくても、移動が続いたり、延長戦が続いたり、特にパリーグは、金曜ナイターの翌日がデーゲームが多いので、選手は金曜日が延長戦だったりすると、睡眠時間も少なく、疲労感が抜けきっていません。
しかし容赦なく試合は行われます。
特に、レギュラーの野手や、中継ぎの投手などはかなりの、精神的・肉体的な疲労が蓄積されます。気分もなかなか乗ってこないことも多々あります。
それは、選手がその日のウォーミングアップにグラウンドに集合してきたときの雰囲気で、すぐにわかります。
私はそんな時、先ほどのテクニックを使うのです。
心を動かし、心を躍らせるのです。心を高揚させるのです。
私は、通常のウォーミングアップでは、まず軽いジョギングをしたりして、身体を温め、そのあと動的ストレッチや動きつくり、そして最後に短い距離のダッシュをして終わります。
そこで、その日の、選手の雰囲気を察知した私は、動きつくりのメニューの中に、頻繁に、ジャンプなどの身体を弾ませる種目を多用させるのです。
いつもより、全身を使うメニューを取り入れながら、もちろん声掛けも、大きな声で、励ましながら、徐々に選手の気持ちを和ませて、溶かして、明るい雰囲気になるように仕向けます。
すると選手は、だんだん、顔も赤くなって、笑顔になってきます。
表情が明るくなってくるのです。選手自身も声が大きくなってきて、いい雰囲気になってきます。
メニューを工夫することで、沈んでいた空気がぱっと変わるんですね。
選手の心が躍ってきたんです。
こうなると、もうウォーミングアップとしては、十分です。
また、試合に向けて、良い雰囲気で入っていけます。
これは、プロだけでなく、皆さんの現場でも多く見られる現象ではないでしょうか。
選手の雰囲気が悪かったり、気分が乗っていない状態で、練習や試合に臨んでもいい結果が得られることは少ないでしょう。そんな時、このように、心を躍らせるような工夫をしてみてください。
きっといい結果が得られるでしょう。
また、スポーツの現場ばかりでなく、日頃の生活においても、気持ちが落ち込んだり、元気がなかなか出てこなかったりする場合が沢山あるでしょう。
そんな時、身体を弾ませて、人間の体という袋を動かして、中にある心を動かしてみませんか。
きっと心が弾んで、心が躍らされますよ。
そして、少し心が晴れやかになり、心が軽く感じられるようになりますよ。
皆さんの心がいつも晴れやかでありますように。
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