私はよくこんなことを相談されます。
「最近、肩が痛いのですが。」
「最近、肘が痛いのですが。」
「最近、息子が腰が痛いって言うんですが。」
野球やスポーツをして、どこかに痛みを発症しているケースです。
私は、もう少し細かく話を聞いて、少し体のチェックをして、そのあと、痛みが発症してから、ドクターに診察をしてもらったかを尋ねます。
するとほとんどが、まだどこにも行っていないか、近くの治療院で診てもらったという答えです。
そこで私は、本人や、保護者さんに伝えるのです。
「今回のような、関節や筋肉などの痛みの場合、まず、整形外科に行って、診察を受けてください。できれば、スポーツ選手が多く通っている、スポーツ整形で診てもらってください。同じ整形外科でも、高齢者や一般の方ばかりが、通っているところよりも、スポーツ選手が多く通っている病院の方が、スポーツ障害を診ている症例も多く、ドクターも信頼できると思いますよ。まずは、レントゲン・CT・MRIなどの画像診断をきっちり受けて、診断名を出してもらってください。その後、治療が必要ならば、その病院のリハビリ室、または、信頼できる家の近くの治療院で物理療法などの治療を行ってください。そして、リハビリが必要ならば、リハビリをしてください。その時はいつでも相談してください。」と伝えます。
ここで、大切なのは、まずは、医者の診察を受けて、画像診断などで、きっちりと診断名を出してもらい、今後の方針を決めていくということです。
「いつも通っている治療院で診てもらっているのだが、もうひとつしっくりこない。ちょっと不安になってきました。どうしたらいいのかわからなくて、相談したんですが。」
というのが結構多いのです。
治療する側も、きっちりとドクターの診断名をもらってきた方が、治療方針を立てやすいのです。
でなければ、結局、後手後手になってしまいます。
最初に、病院に行けば、一番早いのです。
診断名が分かれば、治療する側も、リハビリする側も、やりやすいのです。
また、こんな例もありました。
週末、中学の野球の試合で、肩が痛くなり病院に行った。あいにく日曜日で、病院が休みだったので、救急で診てもらえるところにいった。外科の先生がたまたま当直で、診察してもらった。
診察が終わり、そのドクターは、
肩が痛かったら、痛くなくなるまでボールは投げてはいけません。痛くなくなったら、少しづつ投げてください。
ということでした。
その話を聞いて私は彼に尋ねました。
で、今はどうなの?
痛いです。全然変わらないです。もう2週間もたっているのに。
ん?さっきなんて言った?
最初に救急で診てもらった先生。
何科?整形外科?
いや~~たぶん違うと思います。外科です。
え~~!それで、そのあと診てもらってないの?
はい。
そらあかんわ。もう一回、ちゃんとスポーツ整形外科行って、診てもらっておいで。
そうなんですか。わかりました。明日行ってきます。
といわけで、救急で行った病院が、外科のドクターだったにも関わらず、整形外科のドクターにちゃんと診てもらっていなかったのです。
もちろん一般的なことは、すべてのドクターが診察できます。
しかしながら、野球の投球による肩の痛みは、通常の怪我とは違います。
整形外科のドクターにしても、肩の専門、肘の専門、腰の専門、脊柱の専門、足の専門、股関節の専門、手の専門、膝の専門など、各部位に特化して診察するほど、繊細な分野なのです。ましてや、スポーツ障害となるとなおの事。
結局、彼は、スポーツ整形外科に診察に行き、診断を受けてきました。
そこから、リハビリと治療が始まり、数か月後やっと復帰しました。
ここで問題になったのは、病院にすぐに行って診察を受けたのだが、スポーツ選手を多く診ている整形外科のドクターではなかったこと。
彼と保護者さんの頭の中では、外科と整形外科の区別がついていなかったのでしょう。
外科という名前が付いた先生に診てもらっていたから、安心していたのでしょう。
でもこれは、一般的にある間違いなのかもしれません。私は、職業柄、整形外科と外科の違いはなんとなく分かるのですが、一般的にはあまりわかっていないのかもしれません。
こういったことでも、遠回りするんです。
また、近年では、先ほども述べたように、各部位に関しての専門のドクターが、日本各地にいます。
もし、あなたや、あなたの家族、またはあなたの指導している選手が、怪我や障害で、大きな手術をしなければならないような時、または、どうしても診察の結果が不安な時、当初、思っていたよりも回復が悪い時など、不安がある時は、ぜひ、セカンドオピニオンに行ってください。サードオピニオンに行ってもいいと思います。
特に、子供の野球肘や野球肩の痛みに対する手術の方針が出た時。
簡単に手術を決めないでください。本人も、保護者も納得できるまで調べてください。
でないと一生悔いが残ってしまう場合があります。
私は、そんな子供たちも、プロ野球選手も何人も見てきています。
後から悔やんでも遅いのです。
ドクターに気を遣わず、納得がいくまで、説明を聞いてください。不安なら別の病院のドクターの説明を聞いてください。
不安が残ったまま、納得がいかないままで手術は受けないでください。
もしかしたら、手術を受けないでいい方法があるかもしれません。
私は思います。できることなら、メスは入れない方がいいと。
もちろん手術をする方がいい場合も沢山あります。
しかし、悔いが残らないようにしてほしいのです。
メスを入れるということは、何かしらのリスクを背負うということです。
良かれと思ってやった手術が、悲惨な目にあったケースも何例も見てきています。
だから簡単には決めないでください。
手術は、最後の最後です。それも、症例の多い、病院で、リハビリもきっちりしてくれるところで行ってください。
手術以上に、リハビリは大切ですから。
実際私の娘が、高校時代、膝の前十字靭帯を断裂した時、3つの整形外科で診察をしてもらいました。
結局、すべてのドクターが、同じ意見だったので、その中で、家から近い比較的スポーツ障害の症例の多い病院で、手術をすることにしました。
私も妻も、もちろん娘本人も納得したので、手術をすることにしました。
もちろんリスクはあったでしょうが、その時の最善の策だと判断したので、それでよかったと思っています。
医者であっても、治療院であっても、たくさんあります。納得いかなければ、別の方法もあるのです。気を遣わず最善の方法を探してください。
悔いの残ることだけは避けたいですからね。
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