野球は、寒い時期にどのようなことに注意して練習をしていかなければならないのでしょうか。
そこで今回は、メニュー的なことではなく、少し違った観点から、私の経験を通して、冬場の練習について考えてみました。
日本列島は南北に長く、地域によって、気温も気候も様々で、北海道のような地域もあれば、沖縄のような地域もあり、同じ環境での話も非常に難しいのですが、今回は、平均的な日本の気温をイメージして考えていこうと思います。
平均すると12月~3月ぐらいまでが、日本は冬の時期にあたるのではないでしょうか。
私の住んでいる、兵庫県南部もこのような感じです。
この時期、当然一番に考えておかなければならないのが、気温の低下です。
風の影響も少し考えておく必要があります。
この時期は、風によって体感温度もかなり下がります。
気温は、場所によっては、マイナスになるところもあります。
しかしながら、寒いと言っても、よほどの氷点下でない限り、野球の場合、練習が中止になることはないでしょう。
では、そのような環境で練習する場合、どのようなことに注意すべきなのでしょうか。
例えば、土曜日や日曜日の朝から練習をする場合を想定して考えてみましょう。
まず、意外と盲点なのが、練習前の家での朝食です。
昔から、食べ物や飲み物には、身体を冷やすものと、温めるものがあるといわれています。
寒いこの時期の練習前には、意識して体を温めるものをとるように心がけてください。
少し例を挙げてみましょう。
身体を冷やすもの
牛乳・緑茶・コーヒー・水・ジュース・清涼飲料水
夏が旬の野菜・地面の上にできる野菜・白い色、青い色、緑の色の葉物野菜(レタス・キャベツ・きゅうり・トマトなど)
バナナ・マンゴー・レモン・柿・キウイ・メロン
白砂糖・酢・ドレッシング・マヨネーズ・化学調味料
ウナギ・鱧・アサリ・シジミ
豚肉
体を温めるもの
紅茶・ウーロン茶・ほうじ茶・黒豆茶・生姜湯
冬が旬・地面の下にできる野菜・黒い色・赤い色・オレンジ色の野菜(人参・ネギ・玉ねぎ・ごぼう・れんんこん・かぼちゃ・しょうが・にら・にんにく・赤唐辛子)
りんご・ぶどう・さくらんぼ・プルーン
塩・黒糖・みそ・醤油・ラー油
鮭・まぐろ・カツオ・サバ・イワシ・さんま・カニ・海藻
牛肉・鶏肉・羊の肉・鹿の肉
発酵食品(納豆・漬物・チーズ・ヨーグルト)
などです。
よく見ると、寒い地域で冬に食べられているものが、やはり体を温めるようです。
野菜にしても、ほとんどがシチューなど、温かいスープなどに使われている材料です。
肉に関しても、本州ではあまり食べられていませんが、羊の肉のジンギスカンは、北海道では、牛肉よりもメジャーな肉です。
ヨーグルトも、北欧地域や遊牧民など。寒い地域で暮らしている人々が良く食べるものです。
それとは逆に、南国で食べられている、パイナップルやマンゴー・バナナなどの南国のフルーツは、やはり体を冷やす効果があるんですね。
コーヒーもブラジルなどの温かい地域で栽培されています。
昔から、その季節に食べられているものに、意味があるんですね。
私も、プロ野球在籍時代、遠征やキャンプの時は、朝食がバイキング形式なので、好きなものを食べることができるのですが、時々、洋食にして、コーヒー・パン、サラダ、卵などを食べて、部屋に戻ってきてしばらくすると、すごく体が冷えてくるのを感じました。逆に、和食にして、鮭・味噌汁・ごはん・納豆・漬物などを食べた後は、身体もとても暖かくなった感じがした記憶があります。
朝食は、ほとんどの家庭が毎日、ほぼ同じようなメニューになっているのではないでしょうか。ですからあまり日頃は感じないかもしれませんが、私にように、真逆の事をした場合、かなりの違いを感じましたので、この朝食のメニューに気を遣うことも、実は大切なことではないかと思っています。
全てを変える必要はありませんが、少し意識してみてはいかがでしょうか。
次は服装(練習着・ユニホーム)ですね。
以前もブログに書いたことがあります。
やはり、たとえ小学生の子供たちであろうと、しっかり防寒対策をすることが必要です。
最近は、とてもいい素材の製品が沢山あり、しかも安価になってきています。
手袋・ロングスパッツ・レッグウォーマー・ネックウォーマー・ウインドブレイカー、グラウンドコートなど、防寒・防風を意識することにより、かなり体感温度が変わってくるでしょう。
昔からよく言われている。手首・足首・首をしっかり保温してください。
また、故障個所や違和感・不安感がある個所については、ホッカイロをうまく活用しましょう。
では実際に動き出してからの注意点です。
グラウンドでのウォーミングアップですが、まずはしっかりと、ジョギングなどで、全身の筋温を上げましょう。そのあとに、しっかりと動体操などで、動的柔軟性を高め、最後にはしっかりとダッシュができるように仕上げていきましょう。特に、股関節・肩甲骨周囲は、意識して行ってください。また細かい箇所ですが、首・手首・足首・足趾・指も意識して動かしていてください。
ウォーミングアップが終了すると、すぐにキャッチボールをしましょう。
一番体が温まっている時に、すぐに投げましょう。
夏場よりも少し時間を長くとってください。ゆっくりと仕上げていきましょう。
キャッチボールが終わると、ピッチングをする投手は、キャッチボール終了後、すぐにピッチングに入るのがいいでしょう。肩・肘がしっかり温まっている状態で投げる方が安全です。
また、野手に関しても、シートノックなどをする場合、キャッチボールのすぐ後にしておく方がいいでしょう。
寒い時期は、バッティング練習は、後半でいいと思います。まずは、肩・肘を使う(送球・投球など)ことは、キャッチボール後の肩・肘がしっかりと温まっていて、しかも体がまだ疲れていない時間帯に行いましょう。
その方が、この寒い時期には適しているでしょう。
また、長時間の休憩後や、長時間スローをしていなかった後に、送球する練習がある場合には、しっかりと二回目のキャッチボールをする時間を設けてください。
また、ウォーミングアップや投球練習などで、汗をかいた場合には、着替えをすることも大切です。
かいた汗は、そのままにしておくと寒風の中では、どんどんと体温を奪ってしまいます。
筋温を下げることにも、また、風邪をひく原因にもなってしまいます。こまめに着替えましょう。
メニューとして大切なのは、気温がかなり低い場合、選手たちをとにかく、立ったっままにさせないことです。
野球の練習は、ボール拾いなど、なかなかボールを扱えない時間が多い場合があります。
せっかく温めた体がまた冷えてしまうのです。とにかくメニューを工夫して、筋温を下げ過ぎないように注意しましょう。
また、昼食の休憩時間を利用して、ぜひソックスを履き替えさせてください。気温は低いのですが、靴の中は、結構汗をかいています。そのままの放置が、また足趾の温度を下げ、下半身の故障に繋がっていきます。しっかりと履き替えて、足趾を乾かしてください。
また、どうしても、メニュー上、ボール拾いやその他の事で、動きが少ない場合、ネックウォーマーや手袋・グランドコートなどの着用を認めてあげてください。
よく「グラウンド内では、ジャンバーを着るな!」と言うことをいう方がいらっしゃいますが、
寒くて風邪をひかせたり、体温が下がって怪我をさせたりするのとどちらが問題なのですか?
本質は何なのかをしっかりと考えてください。
集中した良い内容の練習をし、怪我無く、野球がどんどんうまくなっていくことが目的です。
規律があるのなら変えればいい。どちらが大切かよく考えましょう。
子供たちには、ジャンバーやネックウォーマー・手袋などの着用に関して指導するのに、あなたは、ネックウォーマー付けたままノックしたり、寒そうに練習している子供観ながら、温かいコーヒー飲んだりしていませんよね?ユニホームの下、スパッツやレッグウォーマー付けていませんよね?
あなたが寒いなら、子供も寒いですよ。子供も動いていない時があるんですから、その時は、防寒具付けさせてあげてくださいね。
また、気温だけでなく寒さを感じ、集中力がなくなる要因として、強い風があります。
技術練習でなく、例えば体幹トレーニングやその他のトレーニングをさせようとする時、可能であれば、この時期は、グラウンドではなく、建物の下や、室内など、少しでも寒さや風を防ぐことのできる場所で行ってください。
気温が低く、風が吹くグラウンドで、トレーニングすることは、選手に集中力がなく、効果も半減するでしょう。すこしでも、いい場所があるならそこを使ってください。
冬場の練習も、各年代。レベルによって内容は様々でしょう。
今回はそのことには触れませんでした。
しかし今回の内容は、年代には関係なく、共通して考えていかなければならない内容です。
とにかく、筋温を下げずに集中して練習を行う。できるだけ、立ったままの時間を減らす工夫をする。こまめに着替える。この内容は共通です。
もしあなたのチームが出来ていないなら、少し考えてみてはいかがですか。
そして最後にもう一つ。
寒い時に、指導者の長い話はダメですよ。
寒いだけで、誰も聞いていませんよ。
選手も、他のコーチも。保護者も、
「寒いのに、早く話し終わってよ!早く帰ろうよ!」としか思っていませんから。
話は手短にね。
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