私の持論があります。
『選手を上手くさせるには、上手い人が集まる集団に入れろ。』です。
どんなに教え方が上手くても、下手なものばかりが集まる集団にいると、さほど上手くはならないものです。
逆に、指導者が何も言わなくても、上手い人達が集まる集団に入れると、自然とうまくなるものです。
もし、あなたの子供さんを、プロ野球の球団に入れて、ずっと練習を一緒にさせたら、誰も何も言わなくても、子供さんは、野球がとても上手くなるでしょう。
それが上達するための答えなのです。
常にいい見本が近くにあり、自分の理想の選手や目標になるような選手がすぐそばにいることで、高いモチベーションを保ち、練習に励めるからです。何も言わなくても、自分でどんどん練習するようにもなるでしょう。
また、最も重要なのが、良い選手(上手い選手)の、身体の使い方、ボールの見方、ボールへの入り方、グラブの使い方、バットの使い方などを常に間近で見れるということです。
これが一番上手くなります。
特に、内野手のゴロのボールに対する身体の入り方や足の使い方、手の使い方、外野手のフライボールに対する落下地点へのボールの追い方などは、とても参考になるのです。
ですから、私は、若手の選手に常に言っていました。
『もし、上手い先輩や、目標にしている先輩と同じ組でノックを受ける機会があったら、絶対にその先輩の後ろに並ぶようにしなさい。決してその選手の前に並んで、ノックを受けることがないようにしなさい。』と。
『その先輩選手のボールへの入り方などを真後ろから見て、参考にするんだ。ラインを見るんだ。』と。
ノックの順番を待っている時は、ただボケーっと立っている場合ではありません。ボーっとして見ていてはいけません。
他の選手としゃべっている場合ではないのです。
その選手のいいところを盗むんです。同じようにプレーしているイメージで後ろから見ておくんです。そうすると、自分は、人の何倍もノックを受けたことと同じになります。
そして私は、再びこう付け加えるのです。
『君たちの、練習時間は限られている、体力も限られている。しかし、他人が受けているノックを自分が同じように受けているように常にイメージし観察するなら、それは同じ球数のノックを受けているのと同じなんだよ。いやイメージ練習とはそれ以上の価値があるんだよ。』と。
これは非常に役に立ちますし、野球の練習独特の、他の選手がノックを受けている時などの、ダラーっとした感じにはならないということ。チーム自体の練習の雰囲気もしまったものになるでしょう。
いかにボールを実際に扱う前に、いいイメージの形が頭の中にあるかということは、技術を習得していく上でとても重要な鍵になります。
人間は頭の中でイメージするだけで、実際にボールを扱って練習する時の約50%程度の効果があるというのです。これを使わない手はありません。
どんどんうまい人のプレーを見て、頭の中で組立てて、イメージして、次に自分の順番が回ってきたときに、そのイメージ通りにプレーできるように自分を近づけていくだけなのです。
もちろん一回やそこらではできないでしょう。だからこそ、そのイメージと実際のギャップを埋めるために、何度も何度も練習するのです。
ただ、ノッカーが打った打球を何のイメージもなく,行き当たりばったりで処理しても、それは単にたまたまそうなったというだけで、本当に自分の技術として身についたものではないのです。
良い見本からイメージすることが、上達するために及ぼす力は、あなたが想像しているよりも巨大であると私は思うのです。
さぁ、どんどん見てイメージし、人の良いところを盗みましょう。
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