日本では、ほとんどの地域が寒くなってきて、野球の世界でも、冬場の練習に入ってきています。
中学生以上になってくると、ほぼ対外試合もなく、来季に向けた取り組みを始めています。
中学生などは、まだまだ基本的なことが出来ておらず、また、十分な施設もないことから、どうしても体力作りや走り込みと言った発想になってくるのでしょう。
しかしながら、高校生からプロレベルまでを考えてみると、体力作りのためのウエイトトレーニングや走り込み中心で、ほとんどボールもバットも握らないようなことでいいのでしょうか。
私からすれば、たとえプロであっても、しっかりと技術を身につけた者のみが、それを許されるのであり、それ以下の選手は、ガンガン技術練習をするべきだと思うのです。
要は比率の問題です。
プロのトップを除き、ほとんどの選手が技術が未熟なんです。
トップが技術練習を休んでいる間に、下手な選手は、今追いつかなければ、いつ彼らに追いつくんですか?
私は、近鉄やオリックスにいた時、シーズンオフに2軍の選手によく言ったことがあります。
『野茂投手や、金子投手。中村選手やローズ選手など、ベテランや中心選手が、技術練習を休んでいるこの時期に、君の技術が彼らに追い付かなければ、君はいつ彼らに追いつくんだ。
1月に入って、彼らが始動して、2月のキャンプに入って、彼らがブルペンに入ってきたり、バッティングゲージに入ってくれば、また君たちは簡単に彼らに抜かれてしまうんだよ。
君と彼らの技術の差を埋めることができるのは、彼らが休んでいる今しかないんだよ。
だから、彼らよりも球種が少なければ、今練習して習得しようとしなさい。彼らよりもコントロールが悪ければ、投げなさい、練習しなさい。ヒットを打つ確率が低ければ、バッティング練習をしなさい。
11月・12月。1月に、少しぐらいピッチング練習をしたからと言って、肩・肘を休めることがないからと言って、練習しなければ、君は一生、彼らに追いつき追い越すことなんてないんだよ。
今、君が、肩や肘などを故障しているのなら、投げないことは理解できる。しかし、現在どこも痛くもかゆくもない状況で、彼らと同じように、体力の強化のようなメニューばかりやったって、技術なんて向上しないんだよ。
いくらウエイトしたって、実際に投げなければ細かなコントロールなんて身につかない。いくら走ったって、バッティング練習をしなければ、バットの芯に当たるようにはならないんだよ。
いいか、要は練習の比率を少し変えるだけなんだよ。
試合の時期は、結果を求めるがために十分トレーニングに時間を費やすことができない、その分をオフのこの時期に、強化部門の時間に比率を増やすだけなんだよ。
ウエイトをいくら頑張ったからって、いくら走りこみをして、息を上げたからって、微妙なコントロールは良くならないし、バットの芯には当たらないんだよ。
日頃は、チーム練習や試合でとられている時間をトレーニングの時間として使うだけなんだよ。
比率だよ、比率。
技術練習を休むなんて考えたら、身体だけがどんどん強くなっていって、シーズン終了後に、首に(自由契約)なるだけ。
わかってる?
技術練習休んでいる暇なんて君にはないの。早く練習しなさい!
いいか、いくら先輩に連れられて海外で自主トレしても、気分は、半分遊びでしょ。そんな暇があったら、ここで一人で、集中して練習しなさい。
それでも通用しなかったら、首になるだけ。君には、オフはない!』ってよく言っていましたね。
もちろん、1年間フル稼働で頑張った選手は、ゆっくりするべきです。故障がちな選手はこの時期にしっかりと治療するべきです。
しかし、たいしてどこも悪くないのに、自分は体力がないから、筋力がないからと、そればかりに目が行くのはおかしいのです。
私はトレーニングコーチでした。そのトレーニングコーチが、『技術練習をもっとしなさい!』って言うんですからおかしな話です。しかしそれが現実。身体はできても、野球が下手ならダメなのです。
これは決してプロ野球だけの話ではありません。
例えば高校生でも、学校のクラブ自体が、強化期間として、トレーニングや走り込みばかりをし、技術練習をほとんどしなくても、あなたがレギュラーよりも野球が下手ならば、自分で時間を作って、技術練習をしておかなければ、長い冬が終わって、春になっても、全然技術は追いついてはいないんですよ。そこをはっきりと理解しておいてください。
一見、格好よく聞こえるのです。強化期間・冬のトレーニング期。
もちろん間違っているとは言いませんが、バットの芯に当たらないものは当たらないし、微妙なコントロールは改善しません。
最低限、自分の技術向上のための練習をしなければなりません。課題はそれぞれバラバラです。
しかしやるべきことはやってください。
春が来たら、自動的にうまくなっている事など、ありえませんからね。
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